1時間後にアフリカ大陸で Part 2 青い村へ

インドに続いて、二つ目の青い村 シェフ・シャウエン はどんなブルー

全てが青に塗られたシャウエンの路地

インドのラジャスタンに有名なピンクの村がある。ハワーマハル(風の宮殿)が有名な町。その街の隣にも青い村があったの。

インドの北西部の砂漠地帯に美しい民がいる。パキスタンに近いインド、ラジャスタン州。美しいミラーワークや、ブラス職人、音楽家たち。ツーリストに人気のジャイプールはピンクシティと呼ばれている。

インドというと、仏教徒やヒンドゥー教徒が多いイメージだが、多民族国家、宗教も様々だ。ここラジャスタンは殆どがイスラム教徒たちだ。

 モロッコの青い村と聞いて、懐かしくこのラジャスタンで、偶然に見た青い町の景色を思い出した。

      インド 風の宮殿
      インド 風の宮殿

ジャイプールのお隣、ジョドプールの町。ここはまさしくブルーシティ。城壁の多い美しい町と砂漠に続く。

  インド ジョドプールの街並み
  インド ジョドプールの街並み

乾いた大地、砂漠、そしてシャイなムスリムたち。どこか共通点を感じながら、エスニックの魅惑にあふれる。ここは、モロッコ 今回の主題のシェフ・シャウエン

  シェフ・シャウエンの小路で遊ぶ子供たち
  シェフ・シャウエンの小路で遊ぶ子供たち

500円で行けるらしい青い村、名をシェフ・シャウエンという

国営バスで2~3時間。貸し切りハイヤーなら2時間。アクセスは悪くない。

 コマーシャルなどでも多く使われている美しいブルー一色の景色、日本でも時々話題になる場所。ここをツアーに組み込んでいる旅行会社はまだ少なく、旅慣れた人がいろいろと楽しいブログを書いている。私は、どう行くか、地図を眺めながらパズルをはめ込むように、いろいろとアプローチを考える。旅に行く前のプランニングはとても楽しいが、ついルートだけに傾いてしまいがち。時間に正確な国に生きていると、美しいプランほど、狂いが生ずる。交通機関の目的地が、自分たちの目的地と勘違いしやすいのも注意。例えば、駅に着いてから先がけっこう大変だったりする。

 バスは民営と国営があるらしいが、国営はなかなかきれいなバスで、タンジェから出発するバスは町中にはなく、(移動してしまったらしい。)ターミナルまではタクシーで行くしかない。

 実は、ここに来てアクシデントが発生していた。今回の旅には連れがいて、すぐそこのコンビニにも車で行くという生活だったらしく、自由旅行は、足が勝負だから、普段から歩いていないとつらいよ、と忠告したにもかかわらず、よほど想像力がなかったのか、あっという間に歩行困難に陥った。

 バックパックで公共の長時間バスはかなりキツイ。しかも、高齢(?)者。なので、予定を急遽変更して、チャーターハイヤーーで行くことにした。

いざ、さっそく出会いは曲者からスタート!

日本のタクシーやハイヤーはきちんと国土交通省の管轄で法律の括りがあるのは、誰もが知っているだろうし、緑のナンバープレートで営業していることも知っていると思うけれど、外国の事情はその国々で違う。最も、タクシーアプリなるものの登場で、日本でも白タクは横行しているし、今後どのようになるかはわからないが。

 ここモロッコのタンジェでも、チャーターハイヤーは存在していて、なぜだかベンツ。とにかくベンツ。あまり車には詳しくないが、セダンのオンボロ。エンブレムだけ使っているのではないかと思われるほど。

 

 私はちゃんと正規のルート、現地の旅行社で頼んだ。そこで、きちんと依頼して、説明も受けた。途中にきれいな湖があるから、そこで休憩、カフェもある。ゲストハウスまでちゃんと送り届けて、翌日の朝、ピックアップして、昼過ぎにはタンジェに戻る。運転手は英語が話せる人。それで納得して金を払った。

 翌日、ホテルには英語の堪能な、なかなか愉快な冗談ばっかり話すポロシャツにジーンズの40代くらいの運転手がやってきた。古いけれど小ぎれいなベンツ・・・らしきセダン。幸先は良い感じだった。が、しばらく町中を走ると、(私は町を抜けると。と書きたいが・・)袋小路のような、コンクリートの壁に囲まれた、工事中の高速道路のような場所に到着。そこには、何台かのスクラップ寸前のこれまたベンツのエンブレムがついたセダンが数台停車しており、その中の1台、白い民族衣装を着た枯れ枝のように細く痩せたおじさんに、なにやら現地語で指示を出している模様。

 

 しばらく見ていると、ポロシャツおじさんは、戻ってくるなり、有無をも言わせず、ものすごい早口で乗り換えるように言い、白い民族衣装のおじさんがシャウエンまで行くドライバーなんだと言う。なんだか分からないうちに、出た出た「ノープロブレム」。世界中の旅行者相手の仕事をしている奴らが使う言葉だ。もちろん、私も使う。しかし、なんかおかしい。だって、旅行社の人は、英語が出来る運転手と言っていたのに、白いおじさんは、全く英語を話さないもの。

 このポロシャツオヤジはブローカーか、元締めだな。英語が出来るから、金の良い外国人観光客の仕事を取って、営業が出来ない地元タクシーに仕事を振るに違いない。ったく!

 まあ、話が違うと言ったらその通りだし、騙されたって言えば言えなくもないけど、モロッコとなると、こういうのあるあるのような気もして、喧嘩する気もなくなった。

白い細枝のおじさん、どこ行くの?

 

 白い細枝のようなおじさん、まったく話が通じない。こっちもちゃんと目的地に着くか不安になったけど、おじさんもなかなか不安気なんだな。けっこう素朴ないい人かもしれない、なんて考えて。。。しかしだね、2時間くらいと聞いていて、確かに1時間くらい過ぎると、湖があり、カフェらしきもあり、なかなか風光明媚な休憩地点があったので、目的地に向かっていることは分かったけれど、一向に停まる気配がない。おいおい、休憩しないのか?と聞いたが(一応英語で)、おじさんの困った顔は、泣きそうな風貌でつい、こっちが気の毒な気持ちになってしまう。そして、車はどんどん進んで行く。

 あの元締めめ!ここで休憩すると指示をしていないに違いない!くそっ!写真位撮りたいなあと思うのだけど、どうしても降りたいと思うほどの美しさでもなく、そんなこんな考えているうちに、突然車が路肩に停まった。

 

シャウエンに向かう途中の村

道は舗装されていて走行は快適、景色も山々を見ながら縫うように進む。ところどころ、露店のような焼き物の店? いや、無造作に置いてあるだけ?そこには、なんと、とんがり帽子のタジン鍋がある!が、人の気配がない。。。

まあ、暑い昼間だからか?丘陵の続く道には、果樹園のようにも見える低木の木々も多く、点々と集落もあり、住めば都ののどかさがある。

 

白い細枝おじさんは、何もないところで停まった。おしっこかな?と思ったら、木陰から2~3人の人影が出てきた。よくわからないが、木の後ろに机が置いてあって、無造作に果物が載っている。おじさんはここでスイカを買って、大事そうに後ろのトランクに詰めた。今日は出張気分か、割の良い仕事だったのか、それにしても家族が多そうだな。私たちにもお水をくれた。一応料金に含まれているのか、好意なのか分からない。観光客にはわからないけれど、運転手さんたちにとっては、こういう仕事の入ったときに買い物をする御用達の露店(?)なのかもしれない。白い細枝おじさんは、いい人かもしれないね。しかし、まったく意思疎通ができないのも不便と言えば不便だが、ま、いいか。 

村の広場は騒がしい。カモネギ狙いで溢れていた

シャウエンの中心地の広場

 

2時間、気持ちの良い風に吹かれているうちに、ひときわ大きな町についた。が、特に青くはない。町の中央の広場に車が着くと、運転手さんに大勢の人が群がった。

な、なんだ、なんだ。ガーガー話し合っているが、何を言っているのか全く分からない。車を降りると、その他大勢のうちの一人が、私たちの荷物を勝手に持って歩き始めた。うー、こういう場面には、何度も巡り合っているが、今回は現地ドライバーがいる。しかも、彼はまた聞きのまた聞きだろうが、私たちに宿の知っているはずだ。この五月蠅い客引きはいらんだろう。勝手に荷物を持ってくれるのはいいが、あとでポーター代を請求されても困るし、でなければ、ホテルからコミッションをもらう為のがんばりかどちらかだろう。

白い細枝のおじさんは、本当にシャイでいい人らしい。客引きの軍団に気圧されながら、携帯でどこかに電話をしてる。多分、ポロシャツおじさんだろう。こっちは、客引きおじさんと、自分の荷物の攻防戦だ。なんしろ共通語を持たないから、声を出しているが、パントマイムのようだよ。

 

電話を切った細枝おじさんは、荷物持ちおじさんと、ガーガー喧嘩してるんだか、話し合ってるんだかわからない言葉を発しながら、あるゲストハウスに。雰囲気として、細枝おじさんは、私たちの泊まる宿の名前しか知らないようで、ポロシャツおじさんに確認していたんだろうね。その強引荷物持ちおじさんが、知ってる、知ってるというわけで私たちをある宿に連れて行ったって感じ。あくまで私の想像。

 そこで、今度は宿の人を含めて3人のおっさんたちがガーガー話していたが、プイっと荷物持ちおじさん、どこかに行ってしまった。宿の人も、カウンターから奥に引っ込んでしまった。

 ったくもう、強引荷物持ちおじさんは、ようやく客引きに失敗したと悟ったようだ。細枝おじさん、ちゃんと仕事できるじゃん。彼は、宿のおじさんに聞いたのか、そこからほそーい路地を潜り抜けるように歩いて、近くのレストランに入っていく。えっ!レストラン?またガセネタじゃないの?

そこから顔がぶつかりそうなほどの急階段で2階へ上がると、ゲストハウスのレセプションになっていた。紛らわしい!この村は、迷路のように入り組んでいて、坂道の集落らしく、建物の中も迷路のようで、2階にも、3階にも、外の道に通じる出入り口がある。

 

 ようやく予約していた宿に到着。細枝おじさんが初めて笑った。明日の時間を確認して、バイバイ!また2時間かけて帰っていくのかね。でも、ラマダン明けのこの仕事はきっと彼にとってはラッキーだったに違いない。

実は言葉は分からないほうがいいことはけっこうある。

 こういう経緯はアジア中心にとてもよくあることで、旅慣れた人は、あるあるで笑えるだろうが、そうでない人は、怖い、やっぱり個人旅行は自信ないわ、と思うかもしれない。けれど、言葉が通じないほうが便利なことも結構あるのです。

 誰にでも初めてはあり、私が自由旅行を心から薦めるのは、この一見聞けば恐ろしいようなことが、本当に後で笑える面白い出来事であり、けっこう小さい体験でも、人生を生きる栄養になるってこと、たくさんの人に知って欲しいのです。もし、SNSの世界で、見えない相手の投稿が時に怖いと思う気持ちが理解できる人なら、実際の旅の怖さなんて、ほぼ自分の力で解決できる見て触れる世界です。

 共通言語なんてなくても、自分の意思がきちんと伝わるという感動はなかなかのものです。

 そもそも、この騒動も、また聞きの思い込みだけの人たちで話をするから面倒でごちゃごちゃする。船頭さんが多いと船が進まないのと同じ。言葉が分かることが問題を複雑にすることはままある。共通語を持っていなくても、目的がはっきりしている当事者が仕切るほうが、早く解決することはけっこう多いものです。それ、実際に旅にでると必ず出会う場面。不安でも必ず思い通りになるもの。その時の、あっそうか、とか、あっこれでいいんだ!ってことが、少しづつ楽しい旅を作るのです。

ホテルは現地で見て決めるは基本中の基本だったりすること、頭の隅にいつも入れておく。

中庭のある邸宅を宿にしたリヤド

 最近はネットで簡単に宿予約が取れる。選ぶ基準は様々だと思うけど、オススメとしては、リヤドという形式のお宿。民宿のようなものだけど、パティオがある空間にくつろぎのスペースがあり、そこに部屋もあるというけっこう凝った作り。

 ここは私が泊まったリヤド。先の文章でも書いた通り、1階はレストラン。2階がレセプションだが、裏に回ると、外に出られる。つまり坂道に立っている。3階が展望の良いレストランで、4階がここ。噴水の向こうはフリースペース。その左側、オレンジっぽく見える部屋が、客室(私たちのお部屋)。この階のお部屋は2部屋のみ。ほぼプライベート空間。1週間でも10日でも、絵葉書書いたりして、優雅な時間を過ごせそうだわよね。さらに上には客室があるようです。ちなみに、階段は急!でも各階からダイレクトに外に出られます。

 比較サイトで探すのも悪くはないですが、値段と画像だけで決めると、いい宿、逃します。時には、客引きおじさんがいい宿を知ってたりする。乗ってみるのも手です。宿は現地でもいくらでも探せるものです。

何故、青い?聞きたくなるけど、意味がないの。。。?

     カラフルな塗料が売られている
     カラフルな塗料が売られている

 タンジェからここに来るまでの間、いくつかの村を通り越したが、特にブルーの色はない。この村だけが青いことについて、旅人たちは当たり前のように理由を知りたがる。

 それは、ドラマチックであって欲しいし、ミステリアスな伝説だったらなお良いのだろう。が、それは、異国の人々の願いであって、村人はいとも簡単に何でそんなことを聞くのかと首をかしげる、というかあまり興味がないようだ。

 虫よけとか、宗教的な色とか説はあるが、だったら周辺の村も宗教的には同じ人が住んでいそうだし、虫もいるだろうし・・・。

 個人的には、たまたまブルーの色が好きなペンキ屋さんがいたとか、そんなことではないのかねと。。。夢がなさすぎかしら。

 理由はともかく、結果として、道行く人の顔色さえ悪く見える青。そこに景色にそぐわない肌を露出したファッションの観光客が集まる、異形の中に仕事やお金が集まる。生活水準として悪くはなさそうだが、村人全てがそれを歓迎しているとは限らない。お土産物屋や、カフェで賑わうエリアの外で、彼らは毅然として自分たちの生活スタイルを守っているように見える。

 それは、旧市街の迷路の中に迷い込んで見るとよくわかる。路地の奥に現れるゲストハウスの横でも、人々は祈り、子供を遊ばせ、おしゃべりに興じる。手入れが行き届いた壁に飾られた鉢。Tシャツや短パンでカメラを向ける人々には冷ややかだ。世界のマスコミの取材を受けるポピュラーな面とは別のとても大事な側面だ。

 ここはスレていないというか、まだまだ観光客に対してシャイだ。この人々の美しさ、あまり人気になりすぎないほうがいいな、とはこれまた身勝手な旅人の常套句だ。

彷徨う、どこへいっても一番楽しいこと。

 どんな旅の本を読んでも書いてあることは、治安の悪いところ(それどこ?)に行かないこと、夜は出歩かないこと。またパッケージに参加すると、自由時間前には必ずと言っていいほど、添乗員さんは、スリだの泥棒だのの話をする。そして、移動はタクシーにしてくださいと言い、十分脅かした(?)うえで、最後にはオプショナルツアーを薦める。これじゃ、旅は全く楽しめない!と文句を言う旅人も少なくはない。しかし、一方では書かねば、言わねばならない確固たる理由がある。現地の大使館で働く職員などの仕事を見聞きすると、その苦労がいかに大変かを痛感する。それぞれの立場を知れば「なるほど」が多いのも事実です。要は、旅で楽しむ「さまよい」は、なめちゃいけないってこと。

 旅で一番楽しいのは彷徨うこと。私はそう思う。散歩ものは日本だって人気のコンテンツではないですか。偶然見つける、何だろうこれ、見知らぬ所を歩き、見知らぬ人と笑顔を交わすだけでも、気が付くことはとても多いし、疑問も増える。はてなマークが増えると、さらに旅は楽しくなる。迷い込むように吸い込まれるように、道は未知に続いていくのよ。

預言者の愛した猫は、縦横無尽に恋をしている。

知らぬ間に外から入り込んで。レストランのテーブルに下でおねだりをする黒ニャン子。
知らぬ間に外から入り込んで。レストランのテーブルに下でおねだりをする黒ニャン子。

 青い!確かに青い。何というか、ペイントされただけなのに、この独特の雰囲気は騙されたようであり、はるばる来たかいがあったようでもあり、青さより、この場所、人、文化、距離感、そのすべてがあってこその美しさがここにある。

 

そして、この摩訶不思議空間にあって、青の中で動く景色はスリムな肢体を見せつける猫たち。いたるところにネコがいる。個人に飼われているというより、村全体が猫の存在を生活の一部としてとらえているという感じ。

なるほど、イスラム教の偉大なる予言者ムハンマドがこよなく猫を愛していたから・・・なのだろうか。

 

家屋内のレストランで食事をしているときでさえ、気が付くと猫が数匹。自由に出入りしている。自給自足で生きているのかな。

実はネコ好き。もし、ネコが嫌いならば、ちょっと辛いかなっと感じるくらい猫だらけの村でした。

 夜も更けて、オリーブの薫り高い食事を楽しむ。全体的にヘルシーなメニューが多い。が、旅に出てから、ビールとかワインとか絶対につきもの。なのに、アフリカに来てからそれが叶わない。レストランで聞いてみたら、外国人が泊まる高級ホテルのレストランでは値段が高いが供されているとの情報。なるほどね。

 カラッとした気候で夜は実に心地が良い。どう考えてもクーラーががんがん効いた室内でビールと食事という気分にもならない。体調を整える時間と考えを変えることにしましょう。1泊2日のショートトリップ。青い村で夜も更けゆく

カスバで迷子、カスバって何よ!

個人旅行で行ってみたいなら、オーダーメイドの旅またはワークショップでプランニングしませんか?

シャウエンのお土産屋が並ぶ小路