世界遺産のゴミは川の中!?

いいチャンスとして見方を変えてみよう!

 新型コロナウィルスの出現で、ほんとに世の中激変です!

 旅行なんておとぎ話になってしまいそうですが、少し見方を変えると、オーバーツーリズムが新たな問題を生み、旅行者の多さにうんざりしてしまったり、地域住民とのトラブルなど、かなり深刻なことが話題になっていたのはつい最近のことでした。

 

 舞妓さんパパラッチなど、日本も例外ではなかったこと、ほんの数か月前の話しです。皮肉なことに、経済の停滞を恐れる世界を尻目に、空は澄み渡り、今まで見えなかった景色が現れ、静かで荘厳な環境が少しずつ戻って来たとのこと。

インスタグラムやユーチューバーなる人々の出現で、見たい景色は増え、安易に出かけられる楽しさも悪くはないと思うけれど、そこにある自然や、そこに暮らす人々は、アミューズメントパークの世界ではないということ。出かけていく場所への最低限の礼儀は大事だと再認識しています。

レジ袋が有料!で思い出したベトナムの世界遺産、ホイアンでの出来事

 環境問題といえば、まもなくレジ袋が全国で有料になります。絶対悪者、レジ袋なんだけど、それ自体は、エコ発想から日本で生まれたものだと聞いている。結局、使い手の意識の問題だと思う。でなければレジ袋が海の中を大量に漂うことなんかないはず。

 で、なんでベトナム、ホイアンなのか。

    トゥポン川に沿って並ぶレストラン
    トゥポン川に沿って並ぶレストラン

 

 ホイアンは美しい小さな町で、世界遺産になっている。可愛らしいお土産屋にはランタンや工芸品が並び、青山辺りにありそうなおしゃれなカフェ、昔ながらの中国様式を残す屋敷など、歩いて回れる範囲に、古き良き時代とモダンなお店がいい雰囲気でまとまっている。

 街並みを見渡す通り沿いにはバルコニー付きのゲストハウスが並び、世界中からの観光客でにぎわっている。

 特に歴史の関係なのか、フランス人が多い。蛇足になるが、これはアジアではかなり見受けられる傾向で、インドにはイギリス人やオランダ人の観光客が多かったりする。あとは、旅のゴールデンルートとしてマレー半島から上がってくるオージー(オーストラリア)たちも多いかな。

 国際色豊かな、きれいなランタンが灯る町は治安もよく、夜になっても楽しい。女の子はけっこうハマるところだと思う

ベトナム戦争って?

 日本とアメリカが、かつて戦争をしていたことも知らない大学生がいると、テレビニュースが騒いでいたが、この国の若者にもベトナム戦争を知らない世代が増えてきたと、年寄りたちは嘆く。

 リアルタイムではなかったが、沢田教一や開高健に少なくとも影響を受けた私も、ここを旅していて、ネイティブの英語を自在に操る若者に驚かされる。ベトナム戦争も終結45年を超え、長いこと祖国を捨てたと帰国が難しかったアメリカ移住したベトナム人たちも、1986年のドンモイ政策の後、里帰りが出来るようになったからだ。

 時間は良くも悪くも記憶を風化させる。アオザイはジーンズに替わり、平和はいろいろな文化をミックスさせる。大事なことは、平和が文化をミックスさせているってこと。古き良き時代を懐かしむ気持ちは、年を重ねれば誰にでもある感情だが、絶対に、戦争と云う殺人が正当化されることはではない世界だ。

 

 数々の侵略の歴史をもつ「インドシナ」、フランスの植民地だった過去も持つこの国は、フランスパンのサンドイッチがバツグンに美味しい。朝早くからホカホカの焼き立てを麻布に包んで売り歩く女性の姿がある。

 過去の歴史はあっても、ここの国の人々は、怯まないベトナム人の誇りと他国の文化を取り入れて、ペロッ赤い舌を出してにっこりと人を騙す。人の良さと、生きる逞しさの両方を兼ねそろえているものすごく魅力的な人たち。

その名も日本橋
その名も日本橋

江戸時代に日本人が住んでいた証。歴史ある橋は健在です

 こんな小さな港町が、かつては、一大世界貿易港だったとは!東インド会社もあり、中国人街と日本人街があったところです。

 ご朱印船で貿易をしていた日本人は16世紀ころには1000人以上暮らしていたそうですよ。突然の鎖国によって、帰れたとか帰れなかったとか、しかし郊外に日本人の墓があり、町には日本橋という古い木の橋が今も残されています。今住んでいる人は歴史的背景で中国系の人が多いのですが、今母国語を大事にしようとする動きがあって、学校では中国語の授業をしていると子供たちの親たちは言っていました。そう、文化財は漢字で書かれているのに、残念ながら彼らは読めなかったのです。

 1日あれば十分に回れる町ですが、長期滞在の旅行者が多いのも、ここにいるとよく理解できますよ。

町の本当の姿は早朝に現れる!

 世界遺産だけあって、世界中からの観光客でにぎわい、夜はお土産屋のランタンが灯り、ロマンチックな雰囲気を盛り上げる愛らしい町だが、本当の意味での町の活気は、早朝に見られる。

 朝早く、日の出とともに港は活気を帯びる。観光客のいない、地元の生活がそこにはあった。ホイアンは、内湾から少し入ったところの、トゥポン川沿いに広がっている。

 

 朝日が出る前、やっと空が明るくなったころに、たくさんの漁船が市場目指して入ってくる。自転車を積んだ学生たちの船も着く。町中から消えたアオザイも真っ白な女学生たちの制服として姿を現した。ニョクマムの材料のきびなごも山積みになる。見ているだけで楽しい市場の風景だ。

引き潮の川底にはとんでもないもの出現!

 そこから川沿いを日本橋に向かって歩くと、遊歩道のように設えたベンチがあった。誰もいない、静かでのんびりとした時間を深呼吸して、異邦人の気分でいると、ぎょぎょ!呼吸が止まってしまう景色がそこにあった。

 昼間、観光客が行きかうこの道でゆら~と流れていた川に水がない!山盛りのヘドロに黄色や黒のビニルの断片がてらてらと朝日に光って見えている。な、なんじゃこりゃ!あまりのショックに口を覆ってパニックになった。日本橋の下もこんもりとヘドロと極彩色のちぎれた袋で、得体のしれない生き物が今にも中から這い出して来るのではないかと恐怖さえ覚えた。

 冷静になって、分かった。引き潮だ。河口に近いこの川は、潮の満ち引きで水位が変わるんだ。しかし、なんでこんなものが川底に?

 

 答えはすぐに分かった。一人の男の人が、黄色いプラバッグ(レジ袋)を下げてやってきた。近所の人と思しき人は、迷うことなく手にしたプラバッグをポーンと川に向かって投げ捨てた。

 

「ヒョヘー!」無条件に大きな声が出た!ありえない!おじさんだかお兄さんだか分からないけど、その男の人は大人。素っ頓狂な声を出した私に振り向くと、悪びれる風もなく、怪訝な顔で私を一瞥すると帰っていった。つまり当たり前すぎて、なんで変なガイジンが叫ぶのか分からない。それどころか、胡散臭そうに迷惑顔を私に向けた。

 それから数分もせずにまた別の人がやってきて・・・。なんとその川は、普通に、ごくごく普通にホイアンの人々のゴミ捨て場になっていた。ここは間違いなく世界遺産の町。しかし、彼らに悪気はさらさらなさそうだ。堂々と当たり前に、次々とゴミ捨て人はやってきた。


 

 潮が満ちて、雨が降って、このプラ袋は、間違いなく海に流れていくだろう。当時、まだ開発されていなかったが、今、ホイアンから車で20~30分のところの砂浜は高級リゾートになっている。美しい白浜のビーチと透明度の高い海が観光客に大人気だ。

 今、潮の引いた川は、どうなっているのだろうと思う。レジ袋はエコロジーから生まれた優秀な着火剤だ。ごみを入れて燃やせば、完全燃焼になる。二酸化炭素の発生も少なくて済む。っていうか、そもそも、昔はゴミをプラ袋に入れて捨てなかったんだろう。昔からゴミは川に投げるものだったのかもしれない。それが土に還っるものだっかどうかは分からないが、プラ袋やペットボトルが海には流れ出ることはないだろう。

 人は便利なものにすぐに慣れる。が、その使い道や特性を間違えると、たった数年、数十年で地球を脅かすんだ。クラゲと間違えてウミガメが死ぬなんて、それは、私たちの知識と意識だ。

 モノを悪者にする前に、人の意識を変える。知ること、考えることが今出来るよね。

 コロナ自粛、レジ袋有料!のショックとともに、数十年ぶりに200キロ先のヒマラヤが見えるようになったというインドからのニュースを聞くと、あの愛らしいホイアンの悪夢のような景色を思い出す今日この頃です。

 早くまた旅に出たい、どこに行っても、礼節と訪れた国に敬意の気持ちを持って、さ。

 

ベトナムについては、また書きたいと思います。

次回をお楽しみに!

世界の人とお友達になれる現地発着ツアーは英語がおすすめですよ!

 旅先では、様々な現地発着の観光ツアーがあります。行ったその日の気分次第で決められます。もちろん日本語ツアーが分かりやすくて便利ですが、お客様は日本人ばかり。

 せっかく海外旅行に出かけたら、世界中の観光客とお友達になるチャンス。勇気をもって英語のツアーはいかがでしょうか?言葉の心配はあるかもしれませんが、世界中の人たちが英語が得意なわけではありません。あくまで共通語としての認識。お値段もとってもリーズナブル。アジアの英語ツアーなら、ガイドさんたちもカタコトだったりして、楽しいですよ。ぜひチャレンジしてみましょう! 

おすすめの現地ツアーはベトナムの古都フエから出ているボートツアー

ベトナムの古都、フエからフォーン川にそっての帝廟巡りは船に乗っていく。滞在箇所も魅力的だが、船からの生活臭ただよう景色がすごく良い。

特に気に入ったカイディン帝廟。歴史を勉強してくればよかったと思った。現地発着ツアーは各国の旅行者たちと過ごす時間も楽しい。


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