異文化 あるある Vol.7 ステーキはごはんで食べたい!

世界のグルメに苦しむとき。

主食ってなんだよぅ。。。と意識させられる。

 海外旅行に出かけたら、楽しみの一つに「食」がありますよね。ガイドブックの名物料理は、行ったら絶対食べたいものばかり。SNSやインスタも大事な情報源、口コミのチェックも怠りません。そして、市場でのつまみ食いや、人の食べているものを見て、身振り手振りで注文したり、海外旅行で見つけたお気に入りは、帰国後も生活を豊かにしてくれています。

 食事付きのツアーではこの醍醐味楽しめませんよね~~~! 

ごはんが主食

 先回のVol.6で「たまごかけご飯」について書いたのですが、日本人の主食はと聞かれたら、殆どの人がお米と答えると思います。もちろん、ご飯は嫌いという人も、糖質ダイエットに励む人もいると思いますが、一般論としてお米、ですよね。他にお米を主食としている国は、アジア中心にけっこう多くあり、例えば、私たちにも馴染みのあるベトナムなどでは、フォーや、生春巻きなど、日本なら小麦粉を使う俗にいう「粉もの」も米粉から作られているものも多いですし、フランスの植民地だった影響から、朝、暗いうちから麻布でくるんだほかほかのフランスパンを売り歩く姿もありました。

 旅に行くと見えてくるのですが、ラオスでびっくりしたのは、日本の食材や料理に近いというか、同じものがあること、例えば、板海苔、野沢菜漬、五平餅など。特に五平餅は、形も味もまったく同じで、どっちがルーツなんだろうと夜の屋台街で真剣に考えましたよ。

 マレーシア、シンガポールは、インド、マレー、中国人で織りなす社会。ご飯を中心にした料理に事欠きません。もちろん、麺類やパンの種類も豊富です。

 ところで、その主食という概念はなんでしょうか?

肉が主食ってあり得るわけ?

 主食って、穀物を指すようなのですが、学術的なことではなく、ここではあくまで旅行者が異文化で食事をする場合で書きたいと思います。

 主食を英語で言うと、Staple (Food)と言います。ステープルとは中心となる、重要な、みたいな意味です。

 という訳で、いろいろな国の人々は自分ワールドで主食を言う訳ですよ。ある国についての情報では、肉が主食と堂々と書いてあったりしますよね。 

 何を言ってもそれを主に食べているのなら、間違いではないと思うのですが、食事を美味しく味わいたいのに、この主食ゆえに苦痛に思う時があるんですよね~。

黙々と美味しい肉は喰えない。。。。

 厚くてジューシーがステーキ、がっつり食べたい!安価で食べ応えのあるビーフステーキは、渡航先で一度は食べてみたいものだったりします。牛のゲップで地球温暖化なんて言われてますけど、マンガ肉とか憧れちゃいますよね。

 が、いざ!と食べ始めると、意外に飽きが来ます。頭で描く理想と現実がそこにはあります。

 「ご、ご飯が食べたい。。。。」行きつく先はそこです。このソースに醤油をちょびっと垂らせば絶対美味しいはずなのにぃ。あるあるです。

 肉なんて絶対主食にならん!噛み応えのある肉に目も潤んで来てしまいます。

 彼らはしれっと言います。主食?ポテトがあるじゃないか。ん?そうです、そうです、茹でたジャガイモか、フライドポテトがついています。

 これって主食???????

 


ポテトが主食かぁ。

 外国の主食って、パンと考えるのは私だけでしょうか? いや、そんなことはない! 国内旅行の朝食なんか、和洋の違いに真っ先にイメージするのは、ごはんかパンかの選択じゃん。そのステレオタイプ、しっかり刷り込まれていませんか? 

 出かけたからこそ分かる「あるある」が旅の面白さなのだけど、とても美味しい料理なのに、は~、白いごはんがないからツライと思うこと、時々起こるんですよね。じゃ、パンで我慢すればと言われそうですが、実はパンもないんですよ。確かに朝食ならどこの国でもほぼ間違いなくパンは食べられると思う。種類もそれなりなのだが、夕飯となるとパンは姿を消す。国にもよりますけどね、パンは朝に食べるものみたいな印象ですよ。

 で、肉をね、ポテトで食べるって、やってみ、けっこうきついよ。もぐもぐ、モフモフ、美味しいってことはどういうことなのだろう・・・と食べながら哲学的になってきてしまう。最初の一口は、至福の喜びだったステーキが、ため息まじりになってくるぅ。

 私は、いくつかの国で友人のお家に泊まらせてもらったことがある。数少ない経験ではあるけれど、南ヨーロッパ以外で、夕飯に穀物的なものが出てきたことがない。ということは、通常は食べないってことかなぁと感じているんだよね。どう?これも思い込み?

白いご飯には味がない。

    アジアの雑穀屋さん。
    アジアの雑穀屋さん。

 じゃ、ライスを頼めばいいじゃないと思うよね。でも、私たちが当たり前に注文する「ライス=ごはん」って殆ど存在してないんですよね。

 炊き立てのほかほかの白いごはんの価値にこだわるのは、日本独特の味覚と言ってもいいかもしれない。アジア人観光客がこぞって買っていく日本の炊飯器が空しいくらいに。そう、例えばアジア。まずお米自体があまり美味しくない。で、冷めている。ボソボソっとしている。でなければ、チャーハンみたいに味がついている(それはそれで美味しい!)、か、何か香辛料を入れて炊いている、いや、これは間違い、基本的には、湯取り法なので、炊いてはいない。そして、ジャポニカ種が少ない。

 欧米で白米を求めるなら、中華がお手軽だけど、ただの白飯はあまり美味しくない。お米は野菜に分類されているかのように、サラダとかに入っていたりする。パエリヤは文句なしグッドだけど、あくまで単品料理。イタリアのライスコロッケも美味しいけど、ご飯という認識とは違う。

 味のない(彼らはそう言う)白飯を欲する概念は彼の地ではないみたい。

和食ってつまらなくて、まずいデスネ。

 これもショッキングなセリフ。こんなに日本食ブームにあって、まずいとはどーいうこと? これも異文化あるあるなんですよね。

 外国人のイメージする和食って、スシ、天ぷら、すき焼き、鉄板焼き、神戸ビーフ、ラーメン等々。あ、忘れちゃならない番外編の焼き餃子!どれも日本人も大好きなものばかり、おいしいものばかりじゃないですか!

 そうなんですけどね、典型的な和食、つまり家庭で食べるごはんメニュー、白いご飯と味噌汁。漬物、お浸しとか干物。いかにご飯を美味しく食べるかの副菜によって成り立つ定食。

 西洋人と呼ばれる人々は、もともと和食の構成に適した食べ方の習慣がない。最近世界でも注目され始めた「うま味」もまだその実態を知らない人も多いし、日本独特の発酵食品にも馴染みもない。

 その上、ご飯とおかずを一緒に食べるという概念がないので、どうも私たちと同じ美味しさ感覚はないようですよ。サンドイッチや牛丼とかは食べるのにねぇ。

 納豆や梅干しはガイジンさんにとって、なかなかの強者だけど、謎めいているのは、こんにゃく。すき焼きにも「しらたき」として、懐石などでは、刺身こんにゃくとして供される。煮物にも入っている。ぐにぐにして、味がなく、かなり気持ちの悪いものらしい。

 何のために食べるの?と聞かれて、全く良い答えが浮かばない食材なのだ。「健康にいいよ」なんて言って見るしかなくて・・・。「こんなものを食べなくても、私は十分に健康よ!」。。。そう、そうですよね。。。。。。私自身はこんにゃくが大好きなんだけど、なんで好きかと言われると、確かに理路整然と答えられないかもしれない。。くっ!

 もう一つ、つまらないと言わしめた理由は、例えば、刺身、天ぷらにしても、お浸しにしても、出汁や塩、醬油といったものを好みで足して食べるという行為。既にソースが掛っていないものを食べることに、どうも慣れていない気配がある。白いご飯などは、その典型で、他のものと一緒に口の中にいれて咀嚼で味わうと言うことがなかなか難しい。人気のしゃぶしゃぶも、肉ばかりが注目されて、野菜とか、〆のうどんなんてかなりキツイものらしい。その食べ方はお世辞にもきれいとは言えないことが多い。酷い食品ロスだよ!とため息が出たりもする。。。

 彼らも楽しみにしていた日本のグルメに実は苦しんでいたりするのよね。

お寿司大好き!生魚は嫌い!ってどーすんの?

 日本食大好き!とウキウキで日本を訪れる外国人たちが、お寿司屋さんに行って、何か嫌いなものがある?と聞くと生魚って答える人、信じられないかもしれないけど、かなり多いんですよ。

 それ、かっぱ巻きとか、たまごだけ? それとも稲荷ずし?、ひな祭りのちらし寿司?って思うのだけど、一般的に外国人観光客がイメージするのは、江戸前の握り寿司だからね。。。カルフォルニアロールみたいな? えっ!えっ!それは何?とたじろぐ。双方の頭の中でイメージする寿司はきっとものすごいギャップがあるに違いない。

 2014年、オバマ大統領が来日した際に、当時の首相が銀座の高級すし屋にお連れしたが、殆ど寿司を召し上がらなかったという話をもれ聞いた。その後、そのお店は、経済成長著しい中国人観光客の間で大人気になったのだけど、もともと生ものは口にしない人が多い国ですから、出された寿司を炙れとか、焼けとかでトラブル続出になったとか。

 世界中で大ブームを起こしたお寿司だからこそ、世界中のなんちゃってが、日本に逆輸入された結果だったかもしれませんね。

 私も、まだこんなブームになる前に、ヨーロッパで、赤い提灯に「寿司」と白抜きされたお店をいくつか目にして、興味を惹かれたことがありますが、殆どがタイ人の方々のお店でした。そうか、米と酢、なるほどね。もちろん、どんな寿司が出て来るのか怖かったので、入店はしませんでした。

 オーストラリアもお寿司はポピュラーで、あちこちの屋台形式で様々な海苔巻きが売られていますが、こちらもスシという表記ではありますが、ほぼ韓国人の方々が営んでいるようで、ご飯は酢飯ではなく、海苔にもごま油が付けられているものでした。

 アメリカ本土では、日本人のやっている回転すし屋に一度、ごはん恋しさに行ったことはありますが、焼き餃子とか、BBQ、クリームたっぷりのケーキまで回っていて、げんなりしてしまった記憶があります。もっとも最近の日本の回転すしに、そういう私の「許せないもの」はけっこう登場しているみたいで、これも逆輸入文化なのでしょうかね。。。。。

苦しいを笑って楽しむ。

 いづれにしても、世界はと~~~っても広いので、ネットだろうが、テレビ番組だろうが、そこにある情報は、「そういう所もあるだろう。」「そういう事もあるだろう。」に留めておくことも大事だと思うよ。

 だって、「日本人は」というイメージも世界に行けば様々なので、私は、日本生まれの日本育ちだけど、そんなこと聞いたことも見たこともないという日本を聞かされることもままある。私が書いているブログも、あくまで私の体験と経験に過ぎない、だから別の人が、別に時期に行けば、全く違った経験になるかもしれない。宗教じゃないんだから、まるっと信じるんじゃなくて、面白がることが大事だと思うんだ。

 勝手にいろいろとイメージづけられて苦笑いのことも多いけど、世界を歩けば、きっとお互い様の誤解で溢れているんだからさ、「えっ!そうなの?」と誤解をいっぱい解きながら、しゃべったり、飲み食いするわけだよ。

 んなわけで、憧れの分厚いステーキを食べながら、あ~、白いごはんに、納豆かけて食べたい!なんて思っちゃうわけだし。もひとつ、憧れのフランス料理が悪夢になったお話し。 

 ところはメルボルン。地元でも評判の高級フレンチレストラン。 順番を間違えそうなくらい、フォークやナイフが並んでいるテーブル。ギャルソンに椅子を引かれて、おぼつかない格好で着席。

 うふふ。友人に奢ってもらうおフレンチのフルコース料理。旅先ながらの一張羅の服を着てお出かけよ。メニューを見れば、あれもこれも食べてみたいものばかり。ならばと、私は友人とは違う料理をオーダー。わ!美味しいそう!お隣のお皿もさ。一口ちょーだい!なんてもっての外、お行儀悪くて恥ずかしい!なんて窘められてしまった。あぁあ、それ、美味しいそうなのにダメなの? もう一皿頼む必要はないんだけど、一口、味見でいいんだよ。。。。思いっきりしかめっ面をされた。こっちもぶすっとなる。こんなチャンスそうないのに。一口くらい、いいじゃんね。どうも、それはかなりの悪いマナーらしい。

 そして、お皿が下げられてから、次のお皿が来るまでのまあ、長いこと。忘れられてんじゃないの? 間が持たずにグラスに手が行く。絶妙なタイミングでソムリエがワインを注ぎにくるし。。。。待つ間にお腹がいっぱいになって来てしまうし、ワインを飲みすぎてしまうし、時差もあってか、途中で眠くて眠くて、メインディシュを待つ頃にはうつらうつら船を漕いでしまう始末。もう二度と連れてこない!と友人は怒るし、美味しい料理を美味しく味わうのは苦しいものだと睡魔に襲われながら、そこでも思った。

 7時半に予約をしたフルコースディナーがデザートに到達したのはなんと11時を回っていた。だらだら(?)と食べるのはそれだけで辛かった。美味しかったか?と聞かれると、最初のアペタイザーと魚のあとのシャーベットの味くらいを語れるかな。

 ジャマイカのリゾート地でも、おフランス人は昼間っからシャンパン飲んで、3時間くらいはおしゃべりを楽しみながら食事してたっけ。なんとデザートに濃厚なチーズの盛り合わせ食べてた。あそこまで食に時間をかけて、全部を平らげる胃袋がホント羨ましかった。

 私も決して食が細いわけではないが、ゆ~~~~っくり食べるとお腹いっぱいになっちゃうよ。それが日本人かも。あ、ちなみに海外のパッケージツアーの受け入れをやっている旅行会社の人に聞いた話では、日本人観光客には、クレームになるので、さっさと料理を出すようにレストランに頼むのだそうです。わかる、わかる。

 

 教訓としては、身の程知らずの贅沢をしちゃいけない。庶民は庶民の食堂で、自分なりの優雅を楽しむ、これが一番かもね。

おかえり!の味噌汁

 でね、結局帰りの飛行機の中で、油揚げとほうれん草の味噌汁と納豆と白いご飯が食べたい!と願っていることが多い。

 あれもこれも美味しいものだっていっぱいあったし、いつも苦痛の食事をしていたわけでもない。

 一応、リストアップした料理は網羅したし。そうなのです。最後は普段の食事が一番となっても、たくさんの世界中のお料理を楽しめるのは、日本人の持つ食の幅の広さだと思っています。

 世界の中では、宗教的な理由や、地域的な理由、思考から、目新しいものを口にしない、出来ないという人々はけっこういるものです。

 日本で外国人の仕事に携わる人たちは、アレルギーと同様に宗教にも大変に気を使います。最近増えて来たビーガンという括りもあります。  

 食べると言う、生の基本も旅で計ると、民族の歴史や文化をいろいろと知るきっかけになります。

 見知らぬ国の料理を美味しそうと感じる意識があったら、それは白ご飯に苦労しても、実はとってもとっても幸せなことだと思います。

異文化 あるあるは、自分が体験して、へー、そうなんだと知り得たことを気ままに書いています。なので、もしかしたら、今にそぐわない表現も混じってしまっているかもしれません。その時の実際に見聞きしたことを大切にしています。が、気になったら、ぜひお知らせくださいね。

次回はfacebookにも書いているちょっと恥ずかしいトイレでの英語エピソード。これも笑える体験談です。お楽しみに!